アメ車が売れるまで円高、という説を聞いて
結局、米上院は下院を通過した 最大140億ドル（約1兆3000億円）のつなぎ融資を供与するビッグスリー（3大自動車メーカー）救済法案を廃案にしちゃいましたね。
大方の予測じゃ、大人の解決で 資金ショートで０（チャプター１１＝破産申請）か、ビッグスリーの要求してた340億ドルの、真ん中とって140億ドルってとこだったのに、ひっくり返っちゃいました。
さすがに、これはかなり予想外。いや、びっくり。
マジでオバマ次期大統領は1月の就任後、いきなりデフォルト（債務不履行）を宣言することになるかもしれませんな。
文字通りCHANGEってことで。
やっぱアメリカって凄いな、と思います。いろんな意味で。
うう、こうなっちゃうとアメリカの商業銀行は、ほんとにきつい。
いやぁ、ものすごく一気に円高が進む気がしてきました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
先日、８月まで外資系証券会社日本法人の債券営業部のマネージャーだった方と呑みに行ったら、曰く「円高はさらに進むよ、当面」と。
どして？って聞いたら、
「アメリカがたとえ340億ドルをビック３にお金貸してB/Sを厚くしたとしても クルマが売れること＝利益増 には直接結びつかないでしょ」
「そのアメリカが貸したお金を回収するには、ビック３のクルマが売れないとしょうがないんだよ。値ごろ感でアメ車が選ばれる価格水準でないと。特に日本車に比べて」
いや、理屈は分かりますけど、それにしても
たかが個別の民間企業の経営改善のために、二国間の為替が左右されることがあるんでしょうか、と訊ねたら
「いやアメリカにとって、ビッグ３は特別。あると思うよ」
「・・・・・」
たしかにアメリカの自動車産業（部品メーカー・ディーラー・ガソリンスタンドなどの関連産業を含）は、有職者の13人に1人という圧倒的規模の雇用を抱えています。
最大手のＧＭの08年6月時点の債務超過額は日本円にして６兆円にのぼっています。
だからＧＭがもし破綻することになれば、ＧＭの社員のみならず、関連産業に勤める数十万人が路頭に迷うことになるだけでなく、28兆円内外の社債発行残高も鑑みると、金融市場への悪影響も計りしれないんだそうで。
そして、ＧＭが破綻しても、会社は形を変えてクルマそのものはたぶん作られ続けます。その後も日本車との戦いは続きます。だから円高は進むってことなんです。
「・・・・・」
でも実際には、アメリカで売られている日本の会社のクルマは実際にはアメリカで組み立てられているのが中心ですよねぇ。
それに他国で組み立てたクルマをアメリカへ輸出するケースでも、実際は製造のための原材料を世界から輸入して、それを加工して組み立てて完成品にしてから、輸出するので、逆に円高が進むほど、原材料の輸入価格は下がって購買力の強化、競争力の向上に繋がっているはずでして。
やっぱ
アメ車を売るために、円高が続くというのは余りに乱暴な気がします。
それに、いまのアメ車って安ければ売れるってモノでもないような(^_^;)。
え
加藤は円高容認論者です。
日本は資源国じゃないし。円高＝不況っておっしゃられてる方多いですけど、総論では、そんなに悲観するべきじゃないのではないか、と。
強い円を背景にどんどん日本企業は アジアに独資や合弁（さらにアジア資本化！）で直接進出し、製造・生産の上流行程や製品の元となる原材料・資源の確保に投資を進めるべきだと思います。
販売面でも、縮小の進む日本内需は自由落下の放置プレイのまま、新たな消費の創造を期して積極的にアジアに売り場・見せ場を造る投資をするべきだと考えてます。
それに↑元マネージャー氏の予言どおり、世界でアメ車が売れてビッグ３に利益が出るようになるまで円高が続く！ことになるんだとすれば、かな～り長期的にこの円高が続くことになっちゃいますね。
だから、上院否決→廃案も 加藤個人的には良かったなぁと思ってるんです。