パン・アジア視座の日系企業が 確実に成長してます

2020年4月18日

東京に帰ってきました。身の引き締まる寒さです。
今朝、表参道駅で買った11月29日付けの日経新聞を読んだら、いい記事がたくさん載ってました。
そこで今朝の日経に紹介されている日系企業の記事から、私たちがお奨めしている「アジア進出」「アジア資本化」について、お伝えしたいと思います。

今年5月まで、失礼ながら加藤はサイゼリヤって会社のことをまったく知らなかったんです。この会社、上海で大活躍されてます(03年進出、08年現在日系外食として上海で最多の20店舗の直営チェーンを展開中)。のちに日経ビジネスとかで紹介されてて、実は凄い成長してる会社なんだ!と知りました。

ファミレス業界は11年連続で内需縮小が続いています。
その逆風下、国内で堅調な成長を遂げている同社。アジアでの事業展開にも、その慧眼を発揮し、現在は海外子会社を上海、広州、北京、香港、台湾、そしてシンガポールと、アジアで店舗展開中なんです。さすが伸びてる会社は、眼の付け所が素晴らしい。

残念ながら、同社の中国製ピザ生地からメラミンが検出されたり、オーストラリアでの生産集中が原因でデリバティブ取引の140億評価損でたりと今期の業績は厳しそうだけど、アジア進出成功の代表企業としてぜひ頑張ってほしいです。

同社の正垣社長が、本紙(9面)インタビューにて、進行期の最終赤字は避けられないとしつつも
 ・円高(&原材料安)で原価が抑制できていて、営業利益ベースで順調
 ・シンガポールに新しい食品加工工場を建設。オーストラリアへの依存度を下げる
 ・シンガポール拠点は、東南アジアでの出店戦略の要にする
 ・今般の円高は海外進出にまたとないチャンス      
と、激しく賛同したいコメントを寄せておられます。拍手!!。
 
シンガポールは、とても小さい国ですけど、こういった伸長著しい企業の製造や研究開発拠点の誘致にはたいへん積極的な国です。そして地理的&機能的にアジアへの物流力が高いので、こういった輸出用の「ものづくり」の拠点としてシンガポールを捉えておられることも素晴らしいと思います。

13面にはファーストリテイリングが中国での生産集中(現在は90%が中国で生産)を分散すべく、バングラデシュ企業との合弁の生産企業をシンガポールに設立する記事が載っています。

柳井社長はバングラデシュの首都ダッカに設置される工場を「中国に次ぐ生産拠点にする」と強調。遂にユニクロの第二の製造拠点が固まりましたねぇ!アジアから世界を目指してほしいっす。

同社含めたアパレルやタカラトミーなどの玩具産業も、同様の生産拠点の中国からベトナム・カンボジアなどアジア各国への分散を発表している背景には、もちろん従来言われているチャイナプラスワン傾向もあるのですが
・中国が自社商品消費が見込める市場にまで、生活者の所得水準が上がっている(=すなわち労働者の給与水準が上がっている)
事がとても大きいと思います。
実際、UNIQLOの中国での店舗展開はここ1,2年すさまじい勢いです。

地図を眺めながら、これらの記事に眼を通すと、シンガポールという国が、よく言われてる各種税制の優遇だけでなく、東南アジア(ASEAN)各国はもちろん西はインド、南はオーストラリアと、これからの生産拠点や消費市場を見据えるとアジア・オセアニア全域への地政学的な拠点になっていることを再認識できます。

金融系の会社のみならず、世界中の消費財企業がこの地にアジア統括会社が置いている理由はこのあたりにもあるのでしょう。

14面15面の投資財務面では、中国・アジアにて目覚しい成長を遂げている消費財メーカーのピジョン(2-10月、純利益33%増)とユニ・チャーム(アジア市場けん引で2期連続最高益見通し)が紹介されています。

両社の記事では、業績好調の要因として、共に中国・東南アジアでのベビー用品・生理用品の販売増と、日本国内での介護用品・大人用紙おむつの増収、を挙げていますね。アハハハ、いやそのとおり。両社とも注目すべき企業です。

金融恐慌のさなか、世界的に実体経済への注目が高まっています。
生活者の財布と直接向きあっている ピジョン、ユニチャームといった消費財メーカー、ファーストリテイリングのようなSPA、そしてサイゼリヤなどの外食サービス、、、。
それぞれの産業からいくつかのビジョナリーな日系企業が、大小規模入り混じってモノやサービスの売り場の面を、日本からアジアへ確実に拡げています。

加藤は、もっと多くの日本企業が、ビジネスのフレームを拡げ、アジア企業へと脱皮・進化する必要があると思っています。その為に物理的に経営の拠点をシンガポールに置くことは極めて有効だ、と考えています。

そして世界の多くの企業が、既にシンガポールにアジア/パシフィック(AP)本社を設置し中国、東南アジア(ASEAN)諸国、インド、オーストラリアへと事業を展開しています。
(ちなみにOgilvy&MatherもシンガポールがAP統括拠点です。かっこいいオフィスですよ♪)

また、こうやって東京に帰ってきたのは、それをコツコツ一社一社にお伝えするため。
御社にも伺いますよ。アジア資本化を支援するのが、お仕事なんです。