法人税下がっても海外への機能移転の流れは変わらない

2020年5月14日

 
永守さん曰く「法人税率を下げれば、企業が元気になり、雇用が増え、国の税収も増えるのに、日本は企業を弱体化させて、雇用や税収を減らしている。まさに悪循環だ。

そう、いまの日本の法人税実効税率は世界最高水準の米国に並ぶ40%です。加藤も今すぐにも法人税率の引き下げを実現すべきだと思っています。

日本電産株式会社はハードディスク駆動装置用モーターで圧倒的1位の世界シェアを獲得、自動車用などでもトップシェアの製品を続々と生み出している素晴らしい物づくり企業。
また近年の【日本型M&A】の成功例の最も多い企業とも言えるのではないでしょうか。

その同社の創業オーナーであり、猛烈な働きぶりで知られる名経営者 永守重信さんが日経のインタビューにて冒頭コメ含め、お答えになっています。
出て行けというのなら…   
海外に技術開発センターや工場をつくり、海外での雇用を増やすしかない

厳しくも的確なご指摘です。僕自身もこのブログで高い法人税やR&Dの海外移転について書いてきていますが、いやーww説得力が雲泥差です。

そして、このインタビューを見て、あの投資十八番さんがこーんなエントリを
◆海外脱出に追い込まれる日本企業
「トヨタあたりが、スイスに本社機能ごと移転したサンスターに続けば、さすがに政治家も事の重要性に気がつくでしょう。」

成程です。まさしくトヨタが更には系列取引先ごと、海外に移転すれば、日本は内なる「黒船」に気づき、強い刺激をうけるでしょう。ていうか、そこぐらいまでやらないと気づかないかもしれません。

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デタラメ&非現実的なポピュリズム丸出し政策を掲げた民主党が政権を取って一年。

いよいよバラマキ社会主義なだけの民主も化けの皮が禿げ、お尻に火がついてきた様子です。
どうやら今度こそ、世界最高水準の法人税減税の議論が進むかもしれません。少しぐらい期待しても罰はあたらないでしょう。

だいたい、いつの間にやら・・日本の法人税収はたったの37兆円まで落ち込んでいました。
ということはですよ法人税実効税率は40%なわけですから、上記記事の09年の法人税収は2兆7647億円とすれば、半分の20%にしても1.4兆しか税収は落ちません。欧州各国レベルの30%にすれば7千億円しか減収しません。
(一方で09年消費税収は8兆円ですから、これを10%にすれば16兆円になるのです。やっぱどう考えても消費税増税は不可避です)

いや・・どっちみちメデタク法人税が30%まで下げたとしても、永守さんご指摘のように法人税収はかなり増えるかとは思いますが・・かたやグローバル経営を目指す日本企業の海外機能移転の勢いは止まることはないと思います。

事業所も人財も海外に向うべきなのは、それが節税のためだけではないからです。

これからの企業の根幹を成すであろう  国際的なマーケティンググローバル人財の獲得に必要なビジネス環境が日本国内にいてはほとんど期待できない以上、やはり議論は進めていくべきなのです。
また、製造業は民主党が強力に推進している派遣禁止で国内に解決策がありません。国内生産減→労働集約基盤の海外移転は当然の成り行きかと思います。
実際、日本家電の王様 パナソニックは23年度は海外採用を過去最多にすると発表しています。

伸長著しいサムスンは入社3年目以降の社員をいまや毎年200人、1年間世界各国に送り込み、1名1億ウォンの予算で地域調査、語学研修、人脈形成をさせています。
なんと1993~09年の累計で60カ国700都市3800人の実績ということ。日本のビジネスパーソンの国際化も企業の成長の条件だとすれば、これも大いに見倣っていくべきでしょう。